天皇賞・春2025回顧

回顧

 優勝はへデントールでした。2着はアタマ差でビザンチンドリーム、3着は3馬身差でショウナンラプンタ。4着は2馬身差でサンライズアース、5着は1と1/4馬身差でマイネルエンペラーでした。

 ゲートが開くとまずプラダリアが行きます。ここは自然に逃げる形になるかも、というのは戦前から予想していました。ジャンカズマが出遅れて巻き返してハナに。内アラタ・中サンライズアース・外マイネルエンペラーで2番手集団を形成。ジャンカズマの出遅れで少し序盤からペースが早くなった印象でしたが、馬群はそれほどバラけていません。人気の一角へデントールは二番手集団から5馬身くらいのところで内にじっくり構えます。後方集団はへデントールから8馬身くらいでショウナンラプンタ、ジャスティンパレス、ほぼ最後方にビザンチンドリームという形。

 前半1000mは60.7。平均的なペースと言ってよいと思います。ただ今年が少し珍しかったのは「馬群が凝縮していた」こと。全馬キツくなる展開です。
 1000m過ぎたあたりからジャンカズマが離して少し緩みましたが、割と早めにマイネルエンペラーが差を詰めに行ってハナへ。その外からサンライズアースが追っていく形で2000mを通過が122.2なので60.7-61.5というのがここまでの流れ。ただし、その61.5は12.0-12.3-12.9-12.5-11.8で構成されており、1800mから2000mが11.8というのは過去20年遡っても抜けて早いラップです。レースは坂を迎えます。

 ここでまさかの手を打ったのが鮫島克駿騎手。急激にポジションをあげ、「坂の上りでの仕掛け」を敢行します。当然、うまい手ではありません。坂の上りで加速するのはキツイ―競馬をやっていようがいまいが容易に納得できる話です。ましてや今回は直前からラップが早まっている。それをジョッキーに細かく体感しろとは言いませんが、通常であっても避けるべきなので、なぜ?という感想です。本人は「無理せず押し上げて」というコメントでしたが、そこで押し上げること自体に無理がある。なんにせよ、「ジャスティンパレスが坂の上りで動いていく!」という実況と共に4番手まで進出します。

 (時を戻すと、序盤はへデントールから離れていたショウナンラプンタは、残り半分くらいになって少し外に進路を取りながらへデントールを内に見るような形になる位置取りまで進出しています。前走の反省が明らかに活かされており、またそれを出来るのが流石の大ベテラン。)

 レースはクライマックスへ。へデントールとショウナンラプンタは、坂の下りでジャスティンパレスの後ろから発進。ここでショウナンラプンタの武豊騎手はへデントールより先に動くことで、プラダリアに抵抗されているジャスティンパレスを締めつつ壁にします。
 そして最後の直線。内マイネルエンペラー、中サンライズアースもよく粘っていますが流石にこのペースは厳しい。先にエンジンをかけたジャスティンパレスは動きが鈍く、ショウナンラプンタは4角の勢いそのままに外から先頭に躍り出ます。

 しかし、強かったのがへデントール。コーナーでは外を回されたはずですがグングンと伸び、ショウナンラプンタをアッサリ交わします。展開を考えると驚くべき末脚。そこに、ビザンチンドリームが更に外から強襲。菊花賞以来の手綱を取ったシュタルケ騎手はしたたかに、適正な位置を取り続け足を溜めていました。

 勢いに勝るビザンチンドリームが差し切るのか!と思ったんですが、へデントールは驚異的な粘りをみせ、そのままアタマ差で制します。タイムは3:14.0。
 終わってみれば1800mから3200mまで12秒前後を連発するハチャメチャなロングスパート戦。でありながら最後は11.7を刻んでいますから、へデントール&ビザンチンドリームというのは相当なステイヤーです。特にへデントールの強さは恐ろしい。完璧な騎乗をしてみせたビザンチンドリームを上回りました。ジャンカズマが出負けしなかったら、ジャスティンパレスが仕掛けなかったら、など「もしも」は考えられますが、展開がどうあろうがこの2頭の争いだったでしょうね。

 サンライズアースが4着、マイネルエンペラーが5着に粘り地力を見せました。この2頭が作るラップが厳しかったため、勝負になっていたのはジャスティンパレスまでという感じ。まともに走れたのは8着ブローザホーンまでで、流石にこの展開はキツかったのが11着ハヤテノフクノスケまで。以降は大差がついて、どうしようもありませんという着順結果でした。

 事前の予想通り、間違いなく面白い天皇賞・春でした。仮にテーオーロイヤルやアーバンシックが万全でもどうだったか?全く小粒なメンバーではありません。予想は外れましたがかなり大満足な結果でした。少し残念だったのがブローザホーン。斤量を含めるとサンライズアースとの差が広がっており、やはり往時の力は失われてしまったのか。まだ重馬場なら見どころはあるかもしれませんが。

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