優勝はパンジャタワー。2着はマジックサンズ、3着チェルビアットでした。予想もしてないのに回顧記事ですが、一応馬券的にはアドマイヤズームが軸、マジックサンズとマピュースを相手に、人気どころとコートアリシアンに流すという感じで買っていました。
しかしそんな予想は全く無意味になった今回の激荒れNHKマイルC。これでも配当はベスト4らしいのでレベルの高い大会すぎます。
さて、レースを振り返っていきましょう。
スタート直後大外コートアリシアンは外に飛び、厳しくなりました。ランスオブカオス、トータルクラリティ、アドマイヤズームが好発。ティラトーレが少し押して外にヴーレヴーという形で先頭集団は5頭。内にトータルクラリティが出たところで外からヴーレヴーがアドマイヤズームを交わし、トータルクラリティと並んで少し先に出た状態で3コーナーカーブ。前半3Fは33.4!
これはダノンシャンティが勝った2010年と同じ前半タイムで、当時の勝ちタイム1:31.4は未だにレースレコードです。勿論、ダノンシャンティは16番手からの差し切り勝ち。
ゆえに、前半3Fのタイムが出た時点で先行勢の好走は見込めなくなってしまいました。ヴーレヴーの鞍上浜中騎手はその後も一切ペースを緩める気配を見せず、むしろ離して4コーナーへ差し掛かります。
それを早めに捕まえにいったのが、1番人気アドマイヤズーム。これは致し方ないと思います。アドマイヤズームは朝日杯もNZTも大体35秒3~5あたりでの追走経験しかありません。1.5秒程度今までよりも早い流れをついていったわけで、「ポテンシャル」に賭けるしかなかったと推測します。また、アドマイヤズームを前に置いてうまくレースを進めていたのがイミグラントソングでしたが、これでも前すぎる位置取りでした。
直線の攻防。逃げるヴーレヴーの後ろにトータルクラリティ。その後ろにラスオブカオス。馬場の3分どころではアドマイヤズームが先頭に立とうとしており、後ろではイミグラントソングが彼をターゲットにしています。アドマイヤズームの外にはティラトーレ→モンドデラモーレ→アルテヴェローチェという形。
残り400mを過ぎたあたりでアドマイヤズームが先頭に立ちますが、明らかに勢いを失っており、代わりに外から猛然と上がってきたのがパンジャタワー。モンドデラモーレも抵抗しながら上がってきます。内ではマジックサンズがグイグイ伸びて、落ちてきたトータルクラリティを交わし、ヴーレヴーの内に潜り込んでいます。
そしてここまで名前の出てこなかったチェルビアット。道中はプレッシャーを受けず、後方集団の前方で脚を溜めていました。直線でも落ち着いて進路を選択してイミグラントソングを抜き去って追い出しています。
残り200mでは5頭接戦の様相。マジックサンズ、ランスオブカオス、チェルビアット、モンドデラモーレ、パンジャタワーと合わせて伸びてきます。残り100mを切ったあたりでマジックサンズとパンジャタワーが抜け出しこの2頭で決まり、と思いきやチェルビアットの猛追。結局パンジャタワーが優勝、アタマ差でマジックサンズ、ハナ差でチェルビアットという激戦になりました。
タイムは1:31.7。レースの上がりは35.3という当然の結果に。マイルレースというよりは、1200~1400m戦に近いレースで、上位馬は果たして今後どういう路線に進むのか、陣営の思惑が気になるところです。
パンジャタワーは、新馬戦が中京1200m、次戦の京王杯2歳ステークスで優勝し、朝日杯に挑みましたが大敗。休み明けのファルコンSを0.1差の4着とまとめて、まさしく1200~1400m戦への適正を見せていたところにこの展開。お誂え向きといったところで、今後もスプリント戦で見たい馬ですね。
マジックサンズは逆に新馬戦が1800m、2戦目が札幌2歳S。しかもどちらも良馬場ではありませんでした。ホープフルSの大敗後に骨折が判明し、休養しての皐月賞で上がり最速の6着。そして今回も上がり最速と、もちろん後ろでじっくりと追い出しを待っていた武豊騎手の騎乗もありますが、後半を早く走ることはかなり得意な様子。姉に桜花賞2着のコナコースト、母コナブリュワーズは1200m戦3勝に1400m戦1勝、祖母に函館2歳S勝ちのアンブロワーズとくれば、こうした展開での好走も納得でしょうか。皐月賞でもやれていましたが、今後はマイル以下の路線に進むかもしれません。
チェルビアットも未勝利戦は1200m、フィリーズレビューを2着で桜花賞は6着でそれなりに末脚を使う結果に。こうした展開は向いたのでしょう。後方でプレッシャーがかからなかったのもプラスでしたし、直線も不利無く伸びて力を出せたと思います。今後も末脚が向く展開なら、出番があるかもしれません。鞍上のディー騎手も、勝利は少ないですが腕はあると感じました。
モンドデラモーレもファルコンS2着。こうしてみると、分かりやすくマイルより短い距離で好走した馬たちが上位に来ていますね。穴人気するだろうなあと思っていましたが6番人気まで上がっていました。ある程度の位置をとりながら着順をまとめてきたのは天晴という感じで、1400m戦で普通の流れならこの馬は固そうです。
最後にランスオブカオス。吉村誠之助騎手の手綱で、勝利すれば武豊騎手の記録を更新して最年少G1勝利になるところでした。結果は5着でしたが、先行勢の中では1番粘っており、地力の高さを見せつけています。地味に新馬戦が1400mなんですよね。ただこの馬はマイルがドンピシャで、今後順調なら路線の中心的存在になるのではないでしょうか。
前にいた有力馬の敗因は明確で、今後積極的に買っていきたいところ、とはいえ皆分かっているからそんなに馬券的にはオイシくなさそうです。
残念だったのはヴーレヴーとショウナンザナドゥでしょうか。ヴーレヴーはまあ浜中騎手だからしょうがないのかもしれませんが、1:33.0で頑張っているので馬は偉いと思います。破滅的な逃げというほどでもなく、馬がかかったわけでもないので、次戦以降もそんなに心配はしていません。こういうので乗り替わりになるのかは分かりませんが、今後注目していきます。
ショウナンザナドゥは、チェルビアットと比較するとフィリーズレビューでは前の位置から同じ脚で上回ったわけですから、今回も好走していそうなものですが16着に大敗。そもそも桜花賞でも大敗していましたので、ここでも勿論人気はしていませんでしたが、9番手からでも末脚伸びずと、これでどうも難しくなったなと思います。
というわけで、大波乱のNHKマイルC2025でした。有力馬を含んだ先行馬争いが激しくなったところに、浜中騎手が勢いをつけてハイペースになった感じですね。なので全てが浜中騎手のせいだとはなりませんが、個人的にはその後にペースを緩めなかったのが気になりましたね。緩めなかったというか後方がやべ、となっているのに保ち続けて離れたような感じでしたが。今後も彼が逃げ馬っぽいのに乗る場合は、馬券を気をつけていきたいところです。まあ無理なんですが……。
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